モータウンの愛の叫び
Sugar Pie, Honey Bunch
投稿日:2025年6月17日|カテゴリ:文化の交差点
モータウンの愛の叫び
“I Can’t Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch)”
は、1965年にリリースされたフォー・トップスの名曲。
“I love you and nobody else” — こんなにも直球で、感情に火をつける言葉があるだろうか。
モータウン・サウンドは、抑えきれない衝動をそのままに、ビートに乗せて世界へ放つ。
和歌の内なるさざ波
一方、和歌はどうだろう。「しのぶれど 色に出にけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」(平兼盛)
感情をひた隠しにしても、知らず知らず表に現れる恋心。
ビートはない。リズムは自然と五七五七七の中に沈み、響くのは心の奥のさざ波だ。
アフリカ系アメリカ人と日本人の表現文化
モータウンを育んだアフリカ系アメリカ人の文化は、奴隷制や差別の歴史の中で、
「今、ここに生きている自分」の声を響かせることに意味があった。
声は大きく、身体は揺れ、感情はすべて表現するものとして信じられていた。
対して日本文化は、沈黙の中に意味を見出す。「言わぬが花」「以心伝心」など、
言葉を削ることで、かえって深まるニュアンスに重きを置いてきた。
感情はあらわにせず、にじませることで、相手にゆだねるのが日本的な美とされる。
圧倒的な違いと、圧倒的な類似性
- 違い:モータウンは「叫ぶ」。和歌は「にじませる」。
- 共通点:どちらも、恋という不確かでどうしようもないものを、「ことば」に託す。
時代も言語も文化も異なるけれど、
「好きでたまらない」という感情だけは、千年経っても変わらないらしい。
そして、あなたの恋は
叫びたい? にじませたい?
いずれにしても、ことばにしてみることから始まるのかもしれません。
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