阪彰敏

阪彰敏さんからケイワンへのメッセージ

ケイワンが開発したアプリとシステムのインターフェースや構造を拝見するにあたり、流通の本質を深く研究し、その成果を電子的に処理するプログラムに落とし込んだことが伺えます。私の著書『草の根VANとレジポン革命』は、抽象的な理論ではなく、具体的に流通業界が取り組むべき情報産業への道標を示した指南書です。コンピュータシステムとネットワークシステムをリレーショナルデータベースを用いてプログラミングし、パソコン、iPad、iPhoneなどの端末を活用して流通エンジニアリングを通じて売上を伸ばし、付加価値を創出することを提唱しています。ケイワンがアプリやシステムを通してこれらの理念を具現化していることに、深い敬意を表します。


阪彰敏 プロフィール

✴昭和46(1971)年3月 大阪薬科大学 卒業

✴昭和47(1972)年6月 ファルマ東栄薬局開業

✴薬業ボランタリーチェーンの組織化に着手し、

「ファルマ・ボランタリー・グループ」を結成する。

国内初の中小企業VAN・流通VANとして注目をあびる。

✴昭和58(1983)年11月 流通振興株式会社設立 代表取締役

✴昭和60(1985)年7月 POS-VAV構築を目指してRSAネットワークグループを創設

同グループ代表

株式会社POSレジコードセンター設立 代表取締役

✴昭和61(1986)年7月 ビジネス社『草の根VANとレジポン革命』発刊

本書は、阪彰敏が国内で初めてPOS-VANシステムを構築した証明でもあります。

✴平成2(1990)年以降

流通コンサルタントとして活動 インターネット時代の流通の指導にあたる。

全国各方面のスーパーマーケット・ドラッグストアー・酒類小売

インターネット通販などに関わり、現在に至る。

委員経歴・他:

通産省(現経済産業省)委員。

中小企業庁委員。

構造審議会委員。

郵政大臣賞受賞。

昭和23年(1948年)生まれです。
薬科大学を出て、薬局開業、同業者の協議会、共同仕入れ情報ネットワーク作りを経験して、流通情報ネットワークの構築に挑戦。薬、スーパー、酒などの小売店を組織化は40年の経験です。最近は、兵庫県で、地域活性化に取り組んでいます。ふとしたことから、ミャンマーに好感をもち勉強中です。ビーサードは、Bの3乗です。B×B×Bすなわち、BtoBtoBです。製造、卸、小売りなど全ビジネスの架け橋を実行したいと思います。

著作「草の根VANとレジホン革命―流通エンジニアリング時代の到来」
内容説明
日本初の流通VANを成功させた阪彰敏が、どんな規模の企業でも導入できる“現場発”のネットワーク型POSを構築!

目次
第1章 情報化社会を先導する企業(セブンイレブン・ジャパンの挑戦;ヤマト運輸の物流情報化革命;サンリオのTDEシステム)
第2章 情報化と通信革命
第3章 流通暗黒時代の夜明け
第4章 流通エンジニアリング時代の到来
第5章 レジホン革命が始まる
第6章 広がる草の根VAN
第7章 超集中・超分散と、多中心

「草の根VAN: ファルマの情報主権と中小小売業者のエンパワーメント戦略」

「ファルマ」は、「情報を持つ側がその主権者であるべきだ」という考えを基礎に据え、「貴重な情報の発信源である中小小売業者」が情報活用の主役となることを目指しました。これは、チェーン店同士の横の連携を促進し、システムを下から構築するアプローチです。

これにより、中央の大手メーカーや卸売業者に対して強い立場を確保するために、私たちは「情報」に焦点を置き、「商品を買わないシステム」への転換、つまり情報を扱うシステムへの「逆転の発想」を大きな出発点としました。

「ファルマ」が特に注目したのは、小規模小売店だけが持つ、顧客との直接対話から生じる店舗独自の情報です。些細な情報であっても、私たちのボランタリーチェーン本部が編集することで、高付加価値の情報や知識として再生させることができます。このようにして再生された情報を加盟店の共有財産として活用することで、各加盟店の経営に深みをもたらし、小さな薬局を活性化させることが可能だと考えました。

昭和47年、大阪薬科大学の学生やOBによる「理想を貫く会」が発足した「ファルマ」は、当初から薬の低価格販売とボランタリーチェーンによる共同仕入れを通じて大量販売を目指しました。

しかし、加盟店数が14~15店舗に達した段階で、マネジメントの欠如や外部環境の厳しさによる財務悪化という「内憂外患」の状況に直面しました。この苦境を乗り越えるため、ファルマは商品の直接購入を避け、情報を中心とした新しいビジネスモデルへと転換しました。これにより、物流の取次機能を合理化し、チェックシステムを改善することに成功しました。

「ファルマ」の加盟店からの発注情報は、本部で集約され、各問屋に伝えられます。この情報流通により、効率的な商品供給が実現されました。さらに、エンドレステープやビデオシステムを活用することで、最新の売れ筋情報やマーケティング知識を加盟店に提供し、小売店の経営を支援しています。

このようにして、「ファルマ」は情報の集約化を実現し、新しいビジネスモデルを築きました。これにより、加盟店だけでなく私たち自身にも大きなメリットをもたらしています。私たちの取り組みは、下からの情報ネットワークを創造することで、参加者全員が喜ぶ新しい形のフランチャイズチェーンを築き上げていました。

これらの目標を達成するために、最初に情報化へのアプローチとして選択されたのは、高価な大型コンピューターではなく、オフィスコンピューターでした。

端末装置には、当時8000万円もしたPOSシステムではなく、カプラを採用していました。「末端の正確な消費状況を捉えることができなくても、それに近い状況を把握できれば良い」という考え方から、「まずは情報を集め、その情報をどのように活用し、そこから経営効率を高めるためのアイデアをどう生み出すかに焦点を当てた、必要最低限のハードウェア選択」が行われました。

“商品を直接購入しない”という方針を掲げても、物流の代行機能は不可欠でした。そのため、物流を合理化し、チェックシステムを同時に改善することが考えられました。その後、様々な改良が施され、「ファルマ・インテリジェンス・デリバリーシステム(PIDS)」が実施されました。ファルマの加盟店の端末から送信される発注商品コードと数量は、本部の集信装置で一旦フロッピーディスクに保存された後、本部のコンピュータに入力されます。これらのデータは、問屋ごとに分類され、各問屋のコンピュータに電話回線を通じて送信され、基づいて各問屋から出荷されます。各問屋から各店舗別に出荷された商品は、本部の配送車が梱包内容をチェックして回収し、本部で翌日の配送ルート別に仕分けされた後、各加盟店に配送されます。続いて、日々の生の情報をどのように活用するかが課題となります。

本部のスーパーバイザーは、各加盟店を訪問して情報を提供し、経営指導に役立てる一方、本部のマーチャンダイザーは、各問屋のセールス担当者に対して商品構成の決定やマーケティング活動を行います。このようにして、加盟店、本部、商社の流通サイクル全体が活性化され、各加盟店に効果的にフィードバックされるシステム、「ファルマ・インテリジェンス・サイクル・システム(PICS)」が構築されました。さらに、コンピュータで分析した「売れ筋情報」や「不良在庫情報」を記録したエンドレステープを、加盟店が電話で聴取できる「テレフォン・インテリジェンス・サービス(TIS)」があります。これらの情報は2週間ごとに更新され、全加盟店がいつでも最新の情報を入手できるようになっています。

このようなシステムは、現在ではインターネットとリレーショナルデータベースを用いて実現可能です。ケイワンがこの息吹を引き継いでおられると感じます。

阪彰敏様へ、

まず始めに、私たちのプロジェクトに対するお褒めの言葉を賜り、深く感謝申し上げます。貴殿の著書「草の根VANとレジホン革命」を熟読し、その精神をシステム開発に生かしてきた私たちにとって、貴殿からの肯定的なフィードバックは、計り知れない励みとなりました。

「ファルマ」のコンセプト、すなわち小規模小売業者が情報を活用して自立し、ビジネスの主役になるべきだという貴殿の提唱する理念は、私たちの開発する情報システムの核心です。情報の所有者がその主権者であるべきだという信念に基づき、私たちは従来の商品取引からの脱却と、情報を中心に据えたビジネス戦略への転換を目指してきました。

この過程で、小さな店舗が顧客との直接交流から得る独自の情報を価値ある知識として再利用することの重要性を再認識しました。これにより、地域に根ざした小売業が大企業や卸売業者と対等に競争できるようになることが可能となりました。

また、情報技術の進化を取り入れることで、私たちのシステムは顕著に進歩しました。インターネットとリレーショナルデータベースを活用することにより、加盟店が最新情報を即時に得られるような、効率的かつ効果的なシステムの構築が可能となりました。

貴殿からのご指導とサポートに深く感謝しております。私たちは、貴殿の理念を継承し、情報を活用して小規模小売業者が自立し、繁栄するビジネス環境を築いていくことに全力を尽くします。今後ともご指導のほど、宜しくお願い申し上げます。

ケイワン一同