共鳴する恋の心
和歌とモータウンが共鳴する恋の心 — 「This Old Heart of Mine」× 和歌
まずは、この切ないモータウンの名曲をお聴きください:
この曲は、1966年にモータウンの名門ソングライター・チーム「ホーランド=ドジャー=ホーランド」とシルヴィア・モイによって書かれ、アイズリー・ブラザーズによって歌われた名曲です。ロナルド・アイズリーの切なくも力強いボーカルが心に染みます。
続いて、ロッド・スチュワートとロナルド・アイズリーによる、よりしっとりとしたデュエットバージョンもご紹介します:
こちらは1989年にリリースされたバージョンで、ロッド・スチュワートの少ししゃがれた声とアイズリーのソウルフルな声の掛け合いが、原曲の切なさをよりしっとりと際立たせています。
「和歌の恋の歌」との共鳴について
和歌における恋のテーマには、季節や自然の中に「その人への想い」を重ね合わせる情感がよく見られます。一例として:
秋風に 我が思ひをば 乱るるに
もとの玉響(たまゆら) たれか知るらむ
(意訳:秋風がわたしの恋心を乱します。突然揺らぐ心の傷を、誰か気づいてくれるでしょうか)
「This Old Heart of Mine」の歌詞もまた、何度も傷つけられても心はまだ相手を想う、切ない未練がテーマ。ただ、和歌のように自然や季節を重ねているわけではありません。それでも、「古い心」「繰り返される傷」「まだ消えない想い」といった要素は、和歌の情景描写と同様に、聴く人の心に深く染みるものがあります。
共通のエモーション
- 反復と傷:「古い心」が傷を重ねてきたように、和歌でも過去の想いや繰り返される切なさへの言及が多い。
- 未練と切望:たとえ終わった関係でも、まだ忘れられない想いが残る切なさと、和歌の「叶わぬ恋」の感情が重なる。
- 静かな情熱:激しくは語らずとも、静かに胸に焼き付くような情念が、和歌にもこのモータウン曲にも共通。
こうしたエモーションの共鳴は、遠く千年以上前の和歌と、20世紀に生まれたモータウンサウンドを静かに結びつけます。
言葉も旋律も違えど、その奥に流れるのは同じ──恋に傷つき、なおも想いを捨てきれぬ人間の心。
季節の風に心を重ねた和歌と、ソウルのリズムに乗せて叫ぶモータウンの歌声は、時代も文化も超えて、私たちに「恋する心は変わらない」という真実を語りかけてくるのです。
(投稿:けいいち)
返信を残す
Want to join the discussion?Feel free to contribute!