ローコード・ソリューション
はじめに
Kintone(キントーン)とFileMaker(ファイルメーカー)は、どちらも「業務を効率化するためのアプリをつくるツール」です。
名前も知ってる、なんとなく使ってる…という方も多いかもしれません。
でもこの2つ、見た目は似ていても、考え方も仕組みも、まったく違うんです。
このページでは、ITに詳しくない方にもわかるように、KintoneとFileMakerの違いをやさしく解説していきます。
ざっくり言うと──「型」と「自由度」の違い
まず最初に、イメージでとらえるならこんな感じです:
- Kintone:便利な型に情報を流し込む道具
- FileMaker:情報に合わせて器を自在に削り出す道具
どちらが良い・悪いではなく、「どう使いたいか」「どれだけ自由にしたいか」で選び方が変わります。
Kintoneとは?
Kintoneは、クラウドで動くアプリ作成ツールです。
パソコンやスマホのブラウザから使えて、専門知識がなくても「業務アプリ」が作れます。
あらかじめ用意されたテンプレートや、画面上でのドラッグ&ドロップでアプリを構築することができるため、ITの専門家がいなくても簡単なアプリ開発が可能です。
FileMakerとは?
FileMakerは、Appleの開発環境として長く使われてきた、自由度の高いアプリ開発ツールです。
パソコン(Win,Mac)やiPhone、iPad上で動作するアプリケーションを、直感的にデザインしながら作ることができます。
画面・機能・データベース構造など、すべてを細かく自分で設計できるため、複雑な業務ロジックや現場に即した柔軟な対応が可能です。
比較表で見てみよう
次の表は、KintoneとFileMakerの特徴をざっくり比較したものです。
項目 | Kintone | FileMaker |
---|---|---|
開発スタイル | ノーコード/ローコードで簡易アプリを構築 | レイアウトやスクリプトで自由に作り込み可能 |
プラットフォーム | クラウド中心、ブラウザベース | Mac / Windows / iOSに対応(オンプレ・クラウド両対応) |
拡張性 | JavaScriptやプラグインで機能拡張 | スクリプトやカスタム関数で高度な動作が可能 |
共有・チーム運用 | 複数人で同時編集・通知・コメントなどに強み | 権限管理やログ管理に柔軟対応 |
カスタマイズ性 | 構造がやや固定的、柔軟性は中程度 | 非常に高い。業務に合わせて自由に設計できる |
導入のしやすさ | 簡単なアプリなら即日で構築可能 | ある程度の習熟と設計が必要 |
コスト構造 | 月額課金型(1ユーザーごと) | ライセンス購入 or 年間契約制 |
得意な用途 | 簡易な業務アプリ/チーム内の情報整理 | 複雑な業務処理や自社特化型の業務システム |
こんなときはどっち?──使い分けの目安
「どちらを使えばいいのか迷う…」という方のために、
よくある業務シーンを想定して、それぞれの得意分野を紹介します。
-
✔ とにかく早く形にしたい
→ Kintone:テンプレートを使って、すぐにアプリを作成・共有できます。IT部門に頼らず現場主導で進めたいときに便利です。 -
✔ 既存の業務フローにぴったり合わせたい
→ FileMaker:細かいルールや例外処理まで対応可能。現場で長年使ってきた帳票やワークフローをそのまま再現したいときに向いています。 -
✔ クラウド前提、複数人でリアルタイム共有したい
→ Kintone:部署を超えた情報共有や通知機能が得意。チームのやりとりを「見える化」したいときに強みを発揮します。 -
✔ オフライン環境でも使える業務アプリが必要
→ FileMaker:インターネット接続が不安定な工場や現場でも、iPadやPC単体で操作できます。 -
✔ 業務システムを資産として社内に残したい
→ FileMaker:外注に頼らず自社で改善・発展できる「育てるシステム」が作れます。 -
✔ 最小限の操作で入力・集計したい
→ Kintone:フィールドを並べてフォームを作れば、すぐに運用可能。エクセル感覚に近い。
まとめ:それぞれの強みを活かして
KintoneとFileMakerは、どちらも「業務を改善するためのアプリケーション開発ツール」です。
ただし、その成り立ちや設計思想には明確な違いがあります。
Kintoneは「共有とスピード」に強く、チーム全体で見える化しながら進めたい場面に最適です。
一方、FileMakerは「自由とカスタマイズ性」に優れ、現場にぴったりフィットするシステムを1から作り込みたい場面に向いています。
大切なのは、「どちらが優れているか」ではなく、
「いま自分たちにとって最適な道具はどちらか」を見極めることです。
課題の性質、現場の状況、将来的な拡張性、そして社内のITリテラシー──
それらをふまえて、柔軟に判断することが、システム選定の第一歩です。
ツールは、目的を達成するための手段。
最後に価値を生み出すのは、ツールを使う「人」であることを忘れずにいましょう。
KintoneとFileMaker、どちらが向いている?
【よくある質問】
「Kintone FileMaker 違い」や「FileMakerからKintoneへの移行」といったキーワードで検索される方が多くいます。
ここでは、導入を検討している企業の方がよく抱える疑問にお答えします。
Q1:KintoneとFileMaker、どちらが簡単ですか?
Kintoneはノーコード/ローコードでアプリ作成が可能なため、ITに不慣れな方でも短時間で構築できます。
一方、FileMakerは自由度が高く、カスタマイズに慣れると業務に最適化された高機能なシステムが作れます。
Q2:FileMakerからKintoneへの移行はできますか?
はい、可能です。ただし、FileMakerで作り込んだ処理やレイアウトは、Kintoneでは再現できない部分もあります。
フォームやデータ構造をシンプルに保っている場合はスムーズですが、複雑な業務ロジックがある場合は再設計が必要です。
Q3:KintoneとFileMaker、どちらが安い?
Kintoneは月額課金(1ユーザー単位)なので、ユーザー数が増えるとコストも上がります。
FileMakerはライセンス購入型 or 年間契約制で、初期費用はかかりますが、長期的には安定した運用が可能です。
それぞれの導入コスト・カスタマイズ性・拡張性を比較しながら、自社に合うツールを選ぶことが重要です。